乳酸を制する者がマラソンを制す!?
マラソンにおけるパフォーマンスは、主に3つの要素によって説明できるとされています。その3つの要素とは、「最大酸素摂取量」、「乳酸性作業閾値」、「ランニングエコノミー」です。今回は、「乳酸性作業閾値」の高め方についてご紹介します。
マラソンと乳酸閾値
マラソンでのエネルギーは糖質と脂質より得ています。運動強度が低い場合は、主に脂肪からエネルギーを得ています。しかし、強度が高くなるにつれて糖質からのエネルギー利用が大きくなります。糖が利用されるときには、副産物として乳酸が生まれます。血中乳酸濃度は、徐々に速度を上げると、はじめはゆっくりと上昇しますが、ある速度を境に急激に上昇します。このように、運動中に乳酸が蓄積しはじめる地点が乳酸性闘値(LT値)です。LTが高くなればなるほど持久力が高まり、スピードを上げて走っても長い距離を走り続けることができるようになります。
乳酸闘値を知る
大まかなLT値を推定するには、上記の心拍数を用いた計算で求められます。自身のLT値を正確に知るには、専門のスポーツラボなどで乳酸閾値テストを行う必要があります。そのほか、ランニングウォッチで計測できるものもあります。だいたいのランナーは、乳酸性閾値の速度で走ると最大心拍数の65〜75%になります。
マラソンでの乳酸闘値を向上するには
● LT走
LT走とは、速いスピードを維持して走る力を向上させるためのトレーニングです。LT値を超える手前のペース(LTペース)で20〜30分間走るトレーニングです。LTペースで走り続けることで、乳酸の分解能力が向上します。心拍数を目安にしてペースを設定する場合は、最大心拍数の80~90%です。
● クルーズインターバル走
クルーズインターバル走は、LT走の間に短いリカバリーを入れるトレーニングです。走った時間の20%程度のリカバリー時間を設けます。また、通常のインターバルトレーニングは最大心拍数の90〜95%を目安にしますが、クルーズインターバル走では80〜85%のペースで行います。 さらに、1度のクルーズインターバルでの総走行距離は、週間走行距離の10%が目安です。
LT値を向上するサプリメント
カツサプは、カツオなどの回遊魚のペプチドを有効成分とするサプリメントです。回遊魚のペプチドには、乳酸のエネルギー転換をサポートする効果があります。そして、LTを向上する可能性があります。
ランニング歴2〜8年のランナー8名に対してカツサプ無摂取時と摂取時で比較。レッドミルを用いて、3分間のランニングを6回行います。段階的にペースを上げてLT値を測定。結果は、血中乳酸濃度が減少しLT値が高く(右にシフト)なりました。これは、楽に走れる最速ペースが上がったことを示します。つまり、持久力が向上したことを意味します。
プロのランニングコーチら5人を対象に運動前にカツサプを摂取しない状態と摂取した状態の2条件で比較。トレッドミルを用いて3分間のランニングを7回、段階的にペースを上げてLT値を測定。その結果、カツサプを摂取した場合、血中乳酸値が減少しました。これは、運動中の乳酸を効率よく分解して、運動持久力を向上させたと言えます。
このように、検証実験でLTが向上することが分かっています。