30kmの壁を避ける方法と対処法
フルマラソンでは、30kmの壁があるとされています。これは、30km付近でエネルギーが枯渇し、体が思うように動かなくなってしまうことです。こうなると、ペースダウンしてしまったり、完走できなくなってしまいます。
30kmの壁を避ける方法
● 正しくレース中に補給をする
多くのランナーが30km付近で燃料切れになるのは、計算するとわかります。私たちの体は、筋肉に約1500kcal、肝臓に約500kcal、合計約2000kcalの糖質が蓄えられます。ですが、マラソンでは約2500〜3000kcalが消費されます。これはペースと体重にもよりますが、レース中に燃料を補給していなかった場合、30km地点ではエネルギー切れになるということです。
スポーツ栄養士は、マラソンの最初の3時間は1時間当たり炭水化物の摂取量を30~60gとし、その後は1時間当たり炭水化物の摂取量を60~90gに増やすことを推奨しています。摂取するものは事前にトレーニングで試し、量や胃腸トラブルが起こらないか確認して下さい。
● レース前はカーボローディング
スポーツ栄養士は、グリコーゲン貯蔵量を満タンにするために、1週間前の食事の割合を次のように推奨しています。糖質は50~60%。タンパク質は10~15%。脂質は25~30%。2日前から前日は、炭水化物の摂取量を増やすことを推奨しています。割合は、糖質は70~80%。タンパク質は10~15%。脂質は10~20%。
前日には、食物繊維、脂肪、辛いものは控え、米、じゃがいも、パスタなどの複合炭水化物を摂取して下さい。そして、食事の量を大幅に増やす必要はないと言います。トレーニングを減らしているので、これまでの食事量で大丈夫だと言います。 食事の量を増やさずに炭水化物の摂取量を増やす方法は、おやつのヨーグルトをおにぎりにするなど炭水化物に置き換えることです。
● 水分補給を続ける
十分な炭水化物量の食事は重要です。それに加え、レース中とレースに向けて適切に水分補給をすることも重要です。日常で必要な水分は、だいたい男性で2.5ℓです。女性では2ℓ程度が必要です。食事や体内で作られる分を差し引いた、飲料水から補給するべき量は男性で約1.2ℓになります。
前日から、電解質と糖質を含んだスポーツドリンクを飲んでおきます。これは、大会当日の脱水や低ナトリウム血症などを防ぐために有効です。ただし、寝る直前に飲むと、夜中にトイレに起きることになります。すると、睡眠が妨げられてしまいます。走り始める30分前までには250〜500mlの水分を補給します。レース中は、1時間に500〜1000mlを目安に補給します。15分おきに150〜250mlを補給する目安です。
● 自分のペースで進む
レースではペースの調整によって、エネルギーがどれだけ早く切れるかも変わってきます。スタート時はエネルギーに満ち溢れています。高揚感も混じり合わさり調子に乗って飛ばし過ぎがちなので、楽なペースでレースをスタートするようにしましょう。そうすることで、エネルギーを節約できます。つまり、蓄えられたグリコーゲンがすぐに消費されてしまい後半失速するのを防げます。
エリートランナーは、前半温存し後半ペースを上げるネガティブスプリットが多いですが、市民ランナーはどうしても後半にペースが落ちてしまう人が多いので、イーブンペースで走ることをおすすめします。
30kmの壁にぶつかったときの対処法
30kmの壁とは筋グリコーゲンが減少し筋肉がスムーズに動かなくなる現象です。壁にぶつかったら、ペースを落として下さい。歩いても大丈夫です。ストレッチして息を整えて、エネルギーを補給して下さい。炭水化物摂取のためにスポーツドリンクを口にしても、飲み過ぎは禁物です。胃に負担がかかることもあります。
体調が悪いと感じたら、すぐにコース上の救急隊員に助けを求めることです。壁にぶつかると、言葉がはっきりしなくなったり、パニックになったりすることもあります。補給に拒否反応がある場合でも、スポーツドリンクで口をすすいだり、エナジージェルを咥えたり、脳と口の連動性で動作だけでも疲労を撃退できることが研究でわかっています。