ランナーが休むとVO2maxはどのくらい低下する?
VO2maxとは?
VO2maxは、人が筋肉に取り込むことができる酸素の1分間あたりの最大量を表す指標です。"V"はvolumeで量。"O2"はoxygenで酸素。"MAX"はmaximumで最大限を意味します。VO2maxが高いと、1分間に取り込むことが出来る酸素量が多く、生み出せるエネルギー量も大きくなります。高いVO2maxは、酸素供給能力が高く、全身持久力に優れています。現在、VO2maxはランナーの能力を評価する上で重要な指標とされています。
ランナーとVO2max
ランナーのVO2maxは、一般人より高い場合が多いです。一般的に50〜70ml/kg/min程度です。箱根駅伝に出場するレベルのランナーだと、70ml/kg/min以上。そして、トップランナーだと、80ml/kg/min以上になります。VO2maは、定期的なトレーニングや運動によって向上させることができます。しかし、トレーニングを中断したり、運動不足になったりすると、VO2maxは徐々に低下する可能性があります。
ランニングを休むとVO2maxはどう変化する?
● 3〜5日
この期間は、多くのランナーが体力の低下を感じ始めます。心配になったり自信を失ったりし始める時期です。しかし、この期間ではVO2maxと心拍出量はほとんど変わりません。ランナーにとって、数日間の休養は、休養前のハードなトレーニングを癒します。ですので、風邪や不調のときは、慌てず安心して休んで下さい。
● 5〜3週間
5日目以降は、血液量と血漿量が減少し、心拍出量も減少します。そのため、筋肉への酸素供給量が減少します。10日ほど経つとVO2Maxの減少が気になり始め、2週間後には4~5%減少します。数週間運動をしないと、心臓の働きが低下し、心筋の大きさが小さくなるため、一回に心臓の左心室から送り出される血液量が減少します。さらに、グリコーゲンの利用効率も低下します。しかし、多くはトレーニングに戻ればすぐに元に戻るものです。
● 1〜2ヶ月
1〜2ヶ月経つと、ミトコンドリアの効率が低下します。そのため、トレーニング中に乳酸が生成されるのをコントロールするのが難しくなります。心臓の筋肉は著しく低下し、ポンプ室を構成する筋肉壁の厚さは25%減少します。この時点でトレーニングに復帰すると、またすぐに回復します。ですが、筋力の一部が失われており、心肺機能よりも萎縮するのに少し時間がかかるため、怪我をしないよう、慎重にトレーニングを行う必要があります。
● 3〜6ヶ月
3〜6ヶ月が経つと、ベースラインの体力に戻り始めています。トレーニングレベルによっては、このベースラインは一般の人と比べてかなり高いかもしれません。数年のトレーニングを積んでいる人は、休んだ後も体力を維持できるというダータがあります。時間と忍耐力があれば、元に戻すことができますが、これには数週間〜数ヶ月の期間を要するでしょう。