マラソンでの足つりの原因は?
マラソンで足つりを起こす人は、研究で18%と判明しました。また、56kmのウルトラマラソンでは41%であると報告されています。これが、初心者ランナーがマラソンを完走できない主な理由です。
マラソンでの足つりの原因
これまで、足つりの原因として、主な原因は2つと考えられてきました。1つは、脱水や電解質不足が異常な筋収縮を引き起こすとされる「脱水説」です。もう1つは、「脳由来説」です。中枢神経系(脳)に起因する、運動神経の異常な興奮で引き起こされます。しかし、昨今は「脱水説」を否定する研究も多く出てきています。そして、今では「脳由来説」が多数派になってきています。脱水が原因なら、全身がケイレンするはずだという主張です。
運動神経の異常が起こるわけ
「脳由来説」の足つりは、筋損傷や筋疲労によって筋の収縮・弛緩を司る器官の機能不全が原因で起こるとされています。具体的には「収縮して!」という信号が強 まり、「収縮を止めて!」という信号が弱くなる状態が長時間続くことで足がつります。 つまり、筋と脳をつなぐ運動神経に異常が生まれることが足つりの原因とされています。
今だに根強い脱水説
大多数のランナーは、運動中のナトリウム摂取が足つりを防ぐと今でも信じています。脱水症状と、長時間の発汗によるナトリウムやカリウムなどの電解質の喪失が原因であると考えています。344人の持久力アスリートを対象に調査では、75%が電解質の摂取が足つりの予防に役立つと信じていることがわかりました。
研究では水分・電解質に有意差はなかった!
2020年の研究で、98人のランナーを対象にレース前後の血液と尿を検査しました。88人が完走し、20人(24%)がレース中およびゴール直後に筋ケイレンを起こしました。筋ケイレンを起こした20人と起こさなかったグループの間で、体内水分量と電解質濃度に有意の差はありませんでした。そして、筋ケイレンを起こしたグループは、レース後のCK値と乳酸脱水素酵素レベルの数値が非常に高くなっていました。さらに、足をつらなかった人の48%が、定期的に下肢のトレーニングを行っていると報告しました。一方、足をつった人の下股のトレーニング率は25%でした。
足つり予防の鍵は筋トレ
一般に信じられていることに反して、足つりに苦しむランナーは、足をつらないランナーと比べてマラソンの後に脱水症状や電解質の枯渇を示すことはありませんが、筋肉損傷バイオマーカーの濃度が著しく高くなっています。足つりは、疲労した筋肉で起こるようで、これはさらなる筋肉損傷を防ぐための身体の防御である可能性があります。さらに、定期的な下肢筋力トレーニングは、足つりの発生率を減らすのに役立つ可能性があります。したがって、ランナーの足つりの発生率を減らすには、大会前にバナナを食べるよりも、定期的に筋力トレーニングをする方が良い戦略である可能性があります。
筋疲労を軽減する「カツサプ」
筋肉の疲労度合いは、CK値で判断することができます。これは、激しい運動をすると、骨格筋繊維の細胞膜が破損し、壊れた筋細胞中に含まれるクレアチンキナーゼ(CK)が血中に流れ、CK値が一気に上昇するからです。研究では、この筋肉損傷バイオマーカーのCK値が高くなっていたという結果でした。CK値の通常値は、男性57〜197 IU/L。女性で32〜180 IU/Lとされています。値が1000 IU/Lを超えると筋肉の損傷が大きいと考えられています。カツサプは、CK値を抑制する可能性があると検証実験で証明されています。
【 実験内容 】
毎回マラソン大会の翌日に採血を行っているメディカルランナーに、カツサプを摂取したフルマラソン大会で採血を行ってもらい、クレアチンキナーゼの数値を比較。
【 結果 】
カツサプを使用しないマラソンではCK値が1000 IU/L以上でした。カツサプを使用した2戦ではCK値がいずれも600 IU/L台に収まっていました。これは、筋肉のダメージを軽減できたと言えます。